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今回で3回目となるクリスマスコンサートへの参加。 アレグリアスをソロで踊ってみたい!私は、やる気に満ちていました。 ただし今回の参加は、出産で一年ほどフラメンコを休んでいたため、これまでと状況が違っていました。フラメンコを再開してわずか半年でのソロは大丈夫なのだろうか?さらに、以前は週3、4回レッスンをしていたのが育児の関係で週一回のレッスンが精一杯の状況の中、果たして満足のいく踊りができるのだろうか?と不安に感じていました。しかし「また踊れるんだ!」という嬉しさが勝っていたので、そんな不安は一瞬のものとして影を潜めてしまいました。
しかし、 実際に稽古するにつれその不安はどんどん増し、これまで味わったことのない思いをすることになったのです。 まず、私はこれまで曲の構成をきちんと理解していなかったと思い知らされました。曲を覚えた後は「どうやったら、自分らしさを出して踊ることができるだろうか」という事ばかりに気持ちが向いていて、ソロで踊るのは3回目であるのにもかかわらず、基本的なことに向き合ってさえいませんでした。ミュージシャンの方と稽古した時に、どこが12の音なのかをわかっておらず、いつも感覚で覚えてしまう私は音の中ですっかり迷子になってしまい、とても恥ずかしい思いをしました。「表現」どころではでない状況だったのです。その時に痛感したことは、感覚も大事ですが、音のアクセントをしっかり理解すれば自分が迷った時の助けになるんだと。子供を預け、夫にも協力をしてもらった貴重な時間の中で、私は何をやっているのかと落ち込みました。このままではいけないとその日からパソを見直し、足の打ち方を研究し直しました。本番が近づくにつれ、自分の求める踊りと現実のギャップに逃げ出したくなりました。「どうしてソロなんてやろうとしてしまったのだろう」と不安に押し潰されそうになりましたが、やると決めたのは自分自身であり、参加を喜んでくださった先生、サポートしてくれる家族、応援してくれるスタジオの仲間に感謝の気持ちをもってやり遂げなければいけない、と自分を奮い立たせ当日まで出来得る限りの努力をしました。週一回のレッスンではあっという間に本番を迎えることとなり、フラメンコシューズをはいて足の練習をする時間の確保が大変でしたが、とにかくできる限りあきらめずに練習しました。
そうして迎えた当日の朝のことです。不思議なことに私はとても落ち着いていました。少し体を慣らしておこうと自宅のベランダで練習をしていた時、ふと空を見上げたら、真っ青な澄みきった空が目に飛び込んできて、そこへミュージシャンの歌が重なり、その時にずっとイメージしきれなかった私のアレグリアスがスっと浮かんできたのです。本番では、リハーサルではずっと合わなかった所が合い、最初のレトラでなぜか涙が込み上げてきました。今思うと、出産前から出産を経てこの本番を迎えるまで、様々な葛藤や不安を抱え、支えてくれた大切な家族や友人に見守られ、「また踊れる嬉しさ」を心から感じることができたからだと思います。
適度な緊張の中で迎えた本番はあっという間でした。課題であった足の音やコントラは納得いくものにはなりませんでしたが、今回できないことをはっきり思い知ることができとても良かったと思います。今は「できないことから逃げずに、そして見過ごさずにフラメンコと向き合ってみる、でも楽しい気持ちは忘れずにいたい」そんな気持ちでいます。豊かな表現力と確実な技術を少しでも磨けるように、これからもフラメンコをずっと大切に続けていきたいと思います。
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